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傷あと治療

傷あと治療|【公式】VERNO SKIN CLINIC|桜新町の皮膚科・形成外科・美容皮膚科・美容外科

傷あとについてお悩みの方へ

こんなお悩み抱えていませんか?

  • 傷あとが目立って気になる
  • 傷あとがひきつれて困る
  • タトゥーや根性焼きの痕を消したい

これらの悩み、当院にお任せください。

傷あと治療の専門家である形成外科専門医が、治療について親身にご相談にのります。

傷あととは

ちょっとした切り傷や手術などで皮膚に傷が出来ると、必ず傷あとが残ります。このような傷あとを医学用語では瘢痕(はんこん)と呼びます。人間のからだは、一旦損傷を受けると一部の臓器を除いて、この瘢痕というコラーゲン線維を主体とした組織に置き換えて修復していきます。例えるなら、壁に空いた穴を元通りにするのではなく、セメントで埋めてしまうようなイメージです。皮膚も同様で、一旦真皮に至る深い損傷を受けると元通りには再生できずに、瘢痕組織に置き換えてしまいます。元の皮膚ではないため、傷あととして認識されるようになります。
瘢痕は状態により3種類に分けることができます。

成熟瘢痕

成熟瘢痕

傷あとは最初に赤い状態から始まり、時間が経つにつれ肌色から白色に近づいていくのが普通の経過で、このような通常のキズあとを「成熟瘢痕」といいます。一般的に成熟瘢痕は無症状であり、単に見た目だけの問題になります。時間経過とともに徐々に目立たなくはなりますが、生涯消えることはありません。膝や指の関節部など可動部にできると、ひきつれ感を生じる場合があります。

肥厚性瘢痕

肥厚性瘢痕

一方、傷ができてからしばらくの間、キズが赤くみみずばれのように盛り上がることがあります。これを「肥厚性瘢痕」といいます。深い傷は肥厚性瘢痕となることが多く、関節や首など、体が動くと引っ張られる場所はほとんどの場合、肥厚性瘢痕となります。肥厚性瘢痕は慢性的な刺激による炎症が関与するとされています。例えば、関節部の傷は常に引っ張られますので、常に刺激され炎症が長引いてしまいます。その過程で、過剰に瘢痕組織が形成され、盛り上がった肥厚性瘢痕となってしまいます。数年以上の長い時間をかけて、徐々に赤みが消退し、成熟瘢痕となりますが、引き延ばされたような幅の広い瘢痕として目立つ傷あとになります。

ケロイド

ケロイドケロイド

肥厚性瘢痕とケロイドは互いに似ているため混同されがちですが、異なる疾患と考えられています。肥厚性瘢痕はもともと存在した傷あとの範囲を越えて拡大することはなく、その部位で隆起・硬化します。一方、ケロイドはもともと存在した範囲から徐々に水平に拡大する傾向があり、周囲の皮膚には発赤を認めることが多いという特徴があります。また、肥厚性瘢痕は長い時間をかけて自然に縮小することがありますが、ケロイドは徐々に拡大し続け、自然に治ることはほとんどありません。顕微鏡の検査で特徴的なコラーゲン線維の束(thick eosinophilic collagen bundles)を認めることもケロイドの特徴の一つであると言われています。
一般的には上記のように考えられていますが、実際にはその中間的な性質を持つ病変も数多く存在し、肥厚性瘢痕とケロイドの厳密な区別は難しい場合があります。

目立つ傷あと(肥厚性瘢痕やケロイド)の原因

成熟瘢痕、肥厚性瘢痕、ケロイド、瘢痕拘縮という状態は、局所的あるいは全身的な因子のバランスでおこります。いろいろな悪条件が重なるとケロイドや瘢痕拘縮という状態になると考えられます。

局所的な問題

傷の深さ

肥厚性瘢痕やケロイドは、熱傷や外傷、毛のう炎、手術創やBCG、ピアス穴などからできます。皮膚は表皮と真皮から出来ていますが、この真皮の深い部分(真皮網状層)に傷ができると発症します。にきびでも皮膚の表面近くで生じた浅いものではケロイドになりませんが、毛穴の毛根近くで生じた深いものではケロイドになる場合があります。

傷の治り方

傷の治り方が遅いと、肥厚性瘢痕やケロイドができるリスクが上がります。浅いキズでも、痒みで掻いてしまったり、関節などに傷があって、毎日引っ張られるといった状況があれば、炎症が深いところまで広がり、肥厚性瘢痕やケロイドを発症することもあります。例えばBCGの注射ではいわゆる「ケロイド体質」がなくても注射した場所が何ヶ月も赤く腫れることがあります。またピアスでは着脱を繰り返す度に膿が出ることがあります。これらは肥厚性瘢痕やケロイド発症のリスクになります。

傷にかかる力

昔から肥厚性瘢痕やケロイドは、前胸部や肩甲部、下腹部など日常動作で頻繁に皮膚が引っ張られる場所に多いことが知られてきました。一方、頭頂部(頭のてっぺん)や前脛骨部(むこうずね)からはめったに肥厚性瘢痕やケロイドができません。これらの部位は皮膚をつまもうとしても直下に骨があるため難しく、体の動きに伴って皮膚が引っ張られることがない場所です。さらに上眼瞼(うわまぶた)から肥厚性瘢痕やケロイドが発生することも稀です。強く目をあけても、つぶっても、うわまぶたの皮膚はゆるんだ状態で、緊張が生じないためと考えられます。

全身的な問題(ケロイド体質や悪化因子)

妊娠・女性ホルモン

肥厚性瘢痕やケロイドは妊娠で悪化することが知られてきました。血管腫も同様に妊娠時に悪化することが知られており、局所の血流増加(妊娠32週で30-50%、血液量が増加します)や、妊娠中に増加するエストロゲン・プロゲステロンなどの性ホルモンによる血管拡張作用あるいは毛細血管の増殖が原因と考えられています。また肥厚性瘢痕やケロイドの患者様が子宮筋腫や子宮内膜症で偽閉経療法を受けると、その炎症が軽減し、痒みなどの自覚症状だけでなく隆起や赤さなどの他覚症状も軽快して成熟瘢痕になっていきます。

高血圧

高血圧の患者様は、動脈硬化で血管抵抗が増強し、水の出るホースを指でつまんだように血液の流れが速くなります。よって、肥厚性瘢痕やケロイドが悪化すると考えられています。高血圧がある患者様が大きな手術を受ける場合は要注意です。

全身の炎症

大きなけがややけどなどでは、全身に強い炎症がおこります。このとき、全身的な炎症反応(サイトカインストーム)が生じます。このような状態では、ふつう肥厚性瘢痕やケロイドにならないキズでも、肥厚性瘢痕やケロイドになることがあります。

過度の飲酒や運動

飲酒や入浴、運動後に肥厚性瘢痕やケロイドの痛みを訴える患者様は多いです。これには血管が拡張したり、血液の流れが速くなることなどが関係していると思われます。よって、過度の飲酒や、キズに力が加わるような運動は避けることが必要です。このような生活習慣も悪化因子の1つと考えられます。

遺伝的な問題

親子で重症のケロイドが遺伝したり、母娘共に帝王切開のキズが肥厚性瘢痕になっている患者様がいます。一塩基多型という遺伝因子の研究が進んでいますが、「遺伝子のここがこうなっていたら、肥厚性瘢痕やケロイドを発症する」とまでは言い切れないのが現状です。今も研究が続いています。

目立つキズあとの治療(肥厚性瘢痕やケロイド)

手術しない方法

飲み薬

飲み薬ではトラニラスト(リザベン®)が有効であるとされています。これは抗アレルギー剤であり、肥厚性瘢痕やケロイドの組織中にある各種炎症細胞が出す化学伝達物質を抑制することにより、痒みをはじめとする自覚症状を抑え、さらには病変自体を沈静化させると考えられているものです。また漢方薬の柴苓湯が使われることもあります。しかしながら、飲み薬だけで改善することはないため、他の治療法と組み合わせる補助療法の意味合いが強いです。

塗り薬

塗り薬として効果のあるものにはいくつかあります。炎症を抑える目的での、アンテベート®をはじめとするステロイド軟膏・クリームや、非ステロイド系抗炎症剤、ヘパリン類用物質であるヒルドイドソフト軟膏®などです。ただし、塗り薬だけで治療することは難しいのが現状で、あくまで補助療法となります。

貼り薬

ステロイドのテープ(ドレニゾンテープ®やエクラー®プラスター)が用いられます。ステロイドが含有されているため、症状の改善や長期間使用することで肥厚性瘢痕やケロイドの盛り上がりを改善する効果が期待できます。痒みやちくちくする痛みをなんとかしたいという場合には有効で、まず最初に行う治療のひとつです。長期間の使用により毛細血管が浮き出て逆に赤みが出てしまうことがあるので、使用中は注意が必要です。見た目の改善効果には乏しいため、傷の幅を狭くしたい場合には手術が必要となります。

注射

ステロイド(ケナコルト®)を注射し、赤みや盛り上がり、痛みや痒みを軽減させる治療です。テープ治療よりは直接病変に作用させるため強い効果を発揮し、瘢痕を平坦化させることもあります。ただし、塗り薬と同じくステロイドであるため、周囲の皮膚が薄くなって毛細血管が拡張することも欠点です。また硬い瘢痕の中に注射すると痛みが出るため、痛くない注射・効果的な注射には熟練の技術が必要です。女性ではステロイドの影響で生理不順が生じることもあるため注意が必要です。

凍結療法

液体窒素やドライアイスを使った治療法です。欧米では耳介ケロイドの治療として積極的に行われていますが、日本では治療経験のある医師が少ないため、ごく限られた専門施設でのみ実施されています。当院関連施設である慶應義塾大学医学部形成外科では、凍結治療が可能です。

手術する方法

手術に対する考え方

肥厚性瘢痕やケロイドは、手術しない方法で軽快する場合もありますが、ひきつれ(瘢痕拘縮)の原因になったり、目立つ場所で醜状が問題となれば、手術の適応となります。しかし、今までは炎症の強いケロイドに関しては安易に手術してはならないとされてきました。なぜならば、ケロイドは再発しやすいため、単に手術するだけでは前より大きなものになってしまうことがあるためです。今でもそのような考えの医師は多いですが、形成外科では、できる限り再発しないような縫い方の工夫をし、さらに術後の放射線治療を行って、完治させることができるようになりました。

摘出術

麻酔は小さいものであれば局所麻酔でも良いですが、大きいものだと全身麻酔で行います。切除する深さは、脂肪層に達するまで、硬い組織を切除します。

縫合法

肥厚性瘢痕やケロイドを摘出した後に、傷を縫合しなければなりませんが、最も大切なことは、見た目をきれいに縫うことではなく、ケロイドが再発しないように縫うことです。ケロイドは、引っ張られる力がかかる傷にできやすいと考えられるため、引っ張られることを前提に、キズの方向を考え、あらかじめ盛り上げて、丁寧に縫うのがポイントです。深いところでしっかり縫って、肥厚性瘢痕やケロイドができる真皮に力がかからないように工夫します。真皮を縫う前に、創縁がお互いに自然にくっついている状況をつくることが大切です。

術後放射線治療

ケロイドの術後には放射線治療を行うことがあります。手術後のキズが肥厚性瘢痕やケロイドになることを予防する効果があります。しかし、副作用として周囲の正常皮膚への障害を考えねばならず、将来的にわずかながらその部位の発がんのリスクが増える可能性は否定できません。しかし、最近のケロイド治療における放射線治療では、線量や照射方法が改善されていますので、発がんのリスクは最小限に抑えることができています。

手術の後療法について

肥厚性瘢痕やケロイドは、外科的治療および放射線治療で一度は完治したとしても、術後から局所の皮膚伸展を繰り返していれば、やはり再発することがあります。よって、抜糸した後もシリコーンテープやジェルシートで固定したり、ステロイドのテープを用いることで炎症を消失させることが大切です。

目立つキズあとの治療(瘢痕拘縮)

治療の考え方

「瘢痕拘縮」は、肥厚性瘢痕やケロイドが関節部や首など皮膚が引っ張られる場所にできた場合に、治療しないで放っておいた場合、また効果の少ない治療を続けた結果、引きつれができてしまった状態です。瘢痕拘縮を生じてしまうと、柔らかくなるまで相当な時間がかかりますので、手術をすることも考えねばなりません。早めに効果的な治療を行っていくことが大切です。

手術しない方法

軽度の引きつれであれば、ステロイドのテープ(ドレニゾンテープ®やエクラー®プラスター)や、注射(ケナコルト®)で改善させることが可能です。特にエクラー®プラスターの効果は高く、皮膚が厚い大人には大変有効です。皮膚の薄い小児や高齢者にはドレニゾン®テープでも十分な効果が得られます。かぶれを生じなければ長く使用することで瘢痕拘縮が改善します。

手術する方法

「瘢痕拘縮」は、関節部や首など皮膚が引っ張られる場所にできるので、引っ張られる方向に力がかからないように、向きを変えたり、ジグザグに縫ったりして(Z形成術やW形成術)引きつれを解除します(瘢痕拘縮形成術)。時には近くの皮膚をパズルのように切って組み合わせる、局所皮弁術が用いられることもあります。

見た目が問題なキズあとの治療(成熟瘢痕)

治療の考え方

瘢痕拘縮のような引きつれがなく、肥厚性瘢痕やケロイドのような炎症もない、あるいは時間が経って炎症が消失した、肌色~白色の瘢痕は「成熟瘢痕」です。普通の皮膚とは質感が異なり、単に見た目が問題となる場合が多いものです。たとえばリストカットや根性焼きのやけどなどのキズあとが残っている状態です。これらは見た目の問題であるため、健康保険を適用して治療できないものが多くなります。

手術

瘢痕を切除して縫合してしまう方法ができます。しかし、面積が広いキズなどは縫い縮めることで周囲の皮膚がきつくなりますので、切除できる大きさには限界があります。大きなキズあとの場合は、周囲の皮膚の下にエキスパンダーという風船を入れて、皮膚の面積を増やす方法があります。1回目の手術でエキスパンダーを皮下に入れ、1-2週間に1回、病院で生理食塩水を風船に入れて膨らませていき、3ヶ月くらいしてから2回目の手術を行います。正常皮膚の面積が大きくなっていますので、普通に切除しただけでは縫えないキズも縫えるようになります。
術後は、肥厚性瘢痕になる傾向が強くなりますので、抜糸した後もシリコーンテープやジェルシートで固定したり、ステロイドのテープを用いることで炎症を消失させることが大切です。

手術前

手術後

レーザー

皮膚に細かい穴をあけて、皮膚の再生を促す、フラクショナルレーザーが使用できる場合があります。手術ではこれ以上改善させるのが難しい、と考えられるキズが適応となります。キズを完全に消すことができませんが、目立たなくできる可能性があります。普通は1-2月に1度レーザーをあて、複数回照射すると効果が出ます。レーザーをあてた後、しばらく直射日光を避けなければなりません。

メイクアップセラピー

キズあとに特殊なメイクアップをすることができます(リハビリメイク®)。わずかな凹凸のあるキズには極薄テープを貼り、その上からファンデーションを塗布することで、見た目が改善します。単に見た目が改善するだけでなく、目立つ場所のキズがいつでも隠せるという自信を持つことができ、人前にでることが嫌でなくなります。精神的療法の1つと考えることもできます。

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